【ベアハッグ】熊に抱きしめられたらどう逃げよう。。。
定義
Bear Hug(ベアハッグ)とは買い手企業が対象企業の株式を株価より高い価格で買い取る買収手法です。
対象企業の経営層や株主が売却に前向きではないときに買い手はベアハッグを試みます。
周知のとおりすべての企業には“企業は株主のものであり、経営陣は株主価値の最大化に努めなくてはならない“という前提があります。
そのためベアハッグによって株価よりはるかに高い価格のオファーがあった場合、対象企業の経営層は株主価値を増加させるこのオファーを原則的に承認しなくてはいけません。
対象企業の経営陣がオファーを断ることも可能ですが、株主から訴訟を起こされるリスクを伴います。
ベアハッグは買い手企業が対象企業の株主に対して直接交渉を掛ける点では敵対的買収と似ています。
しかし両者の大きな違いは、ベアハッグでは株主はより良い条件で株式を売却できる点です。
メリット・デメリット
ベアハッグを成立させるため、買い手は対象企業の大多数の株式を市場価格よりずっと高い価格で買い取るオファーを提示する必要があります。
当然ベアハッグは買い手にとっては、買収価格が高額となるデメリットがあります。
株価を市場価格より高い値(プレミアム)で買い取るため、買収後にこの投資から利益をあげるまでの道のりも険しくなります。
一方でベアハッグの買い手へのメリットは、対象企業が株主価値最大化の原則に基づき、拒否出来ないようなオファーを提示することで、他の買い手のライバルに問答無用で競り勝つことが出来る点です。
買い手が対象企業にそれだけの価値を見出す場合、ベアハッグは有効な買収手段と言えます。
まさに熊のハグのような強力な手法です。
ベアハッグの使用例
ベアハッグは資金力が豊富な大企業が、優れた技術力を持ち、将来性も高い中小企業を買収する際に使用されるケースが一般的です。
例えば日本の歴史ある中小企業には、古くから同様の経営陣が運営し地元の支援者・株主に支えられているような町工場が多く存在します。
外資(例えば資金はあるが技術力は無い中国企業など)がこの強い結束を破るのは至難の業となります。
仮に敵対的買収を仕掛けて個々の株主に直接交渉をしたところで、陰ではしっかりと経営陣や他の株主と連携を取るのは火を見るよりも明らかです。
そこで買い手は堂々とベアハッグを行い、株主が驚くような価格を提供します。
こうしたオファーは市場でもニュースとなるでしょう。
そこで対象企業の経営者は株主価値最大化の原則に反するような、買収オファーの拒絶はし難くなります。
株主にとってもコソコソと他の株主の決断や会社役員の顔色を伺う必要はありません。
繰り返しになりますが、経営陣はベアハッグを拒否することも可能です。
現体制による企業の存続が本当に株主にとって最良の選択だと考えればオファーを拒絶することでしょう。
その選択が正しければ、株主からの訴訟も起こされないはずです。
このようにベアハッグは株主価値に焦点が置かれる買収手法です。
まとめ
- ベアハッグは対象企業の株主の保有株式を株価以上の高額な値段で買い取るオファー
- 対象企業の役員は株主価値を増加させる買い手からのオファーを承認する必要性が高い
- 買い手の買収コストは高額となるが、他の買い手候補に競り勝つ強力な手段
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