【テクニカル分析】過去の株価のパターンから将来株価を予測する

2020年11月26日

定義

テクニカル分析は過去の株価や取引数などのデータを基に、将来株価がどう動くのかを予測する手法です。

マクロ要因や企業の財務状況等の包括的な情報を基にするファンダメンタル分析とは一線を画します。

まずテクニカル分析を語る上で欠かせない、EMHのコンセプトを説明していきます。

EMHはEfficient Market Hypothesis略称です。

EMHとは、現在の株価は企業の属するマーケットの状況や企業の財務状況、ニュース(ネガティブな要因もポジティブ要因も)など全ての情報を即座に反映しているという考え方です。

そのためわざわざファンダメンタル分析で各要素を分析しなくとも、テクニカル分析を通して既にそうした要素を反映している株価を分析すれば、おのずと将来の動きも予想出来るという訳です。

詳しいEMHの説明はここでは省きますが、株価が全ての情報を即座に反映しているという点には反論を唱える証券アナリストや投資家は少なくありません。

その点を踏まえた上でテクニカル分析の手法を見ていきましょう。

テクニカル分析は株価のみならず、先物価格やコモディティ、Fixed Income、為替の変動の分析にも使用可能で、特にコモディティやFxなど短期取引で収益を上げる投資戦略に活用されます。

ここでは比較的分かりやすい株価に注目していきます。

テクニカル分析のロジック

テクニカル分析は80年代後半に考案され、今日まで多くの金融学者によって多くの改良が加えられてきました。

テクニカル分析の重要な前提の一つは、株価には一定のパターンがあるため、過去のトレンドを分析することで将来の動きを推測できるというものです。

仮に株価は全くもってランダムに決まっていて、昨日・今日・明日の株価に相関性が0であればテクニカル分析は成立しません。

またもう一点、私の投資銀行での経験から言うと、多くの証券アナリストは株価の分析を行う際には、テクニカル分析だけに頼るのではなく、テクニカル分析+他のリサーチを行います。

これによりテクニカル分析によって予想された将来株価の動きの裏付けとなる要素が補強出来、信頼性が増します。

無論如何に優れた証券アナリストでも将来の株価を100%正確に予想することは不可能ですので、予測の精度をなるべく高めるため多くの分析手法を用いるのです。

株価はどう決まるのか?

ここでそもそも株価はどう決まるのかを考えてみましょう。

端的な回答の一つは、株価は需要と供給によって決まるというものです。

多くに投資家が株式を買いたければ需要は上昇し価格は上昇。

多くの投資家が株式を売りたければ供給が増加し、価格は下落。

この“多くの投資家が株式を買い/売りたい”という決断に至るまでに、投資家はファンダメンタル分析などを通して株価の本質的価値を分析しているので、株価が需要と供給によって決まるという考え方はある程度的を射ています。

株価の動きには数百のパターンがあると言われています。

トレーダーはこうしたパターンを即座に分析して将来株価を導き出すモデルを活用します(モデルの作成にはクオンツが重宝されます)

一般的にモデルは以下の項目をカバーします

  • 株価トレンド
  • チャートパターン
  • 取引量・モーメンタムの指標
  • Oscillators
  • Moving averages
  • Support and resistance levels

一方でテクニカル分析の信憑性に否定的な投資家も多く存在します。

テクニカル分析への批判

その理由の一つは、そもそも株価には規則性が無いので、昨日の値動きと明日の値動きは全く関係無いという考え方です。

また証券アナリストがテクニカル分析によって出したリコメンデーションが当たる背景には、リコメンデーションが株価に影響を与えている側面があることを無視できません。

例えば投資銀行の証券アナリストがA社の株のテクニカル分析を行った結果、現在の市場株価はUndervaluedされていると判断し、将来は本質的価値に近づくだろうから、株価が上る前の今の内にBuyリコメンデーションを出したとします。

するとこれを見た多くの投資家がそのとおりにBuyオーダーを出します。

それによってA社株の人気(需要)が高まり、株価は上昇します。

すると証券アナリストのリコメンデーション・予想(Undervaluedだから株価上昇)が正しかったという結論に至ります。

しかし証券アナリストのリコメンデーションが株価に影響を与えたから株価は上昇したのであって、仮にリコメンデーションが無ければ投資家はA社株を買わずに、株価に変動は無かったかも知れません。

このようにテクニカル分析の懐疑派は、こうした証券アナリストのリコメンデーションによる株価操作(Manipulation)の側面を指摘し、テクニカル分析自体の正確性には疑問を持っています。

しかし株価の予測においてテクニカル分析は広く認められた手法であることは間違いありません。

上記のLimitationを理解した上でテクニカル分析を行い、その結果を活用することが重要です。

まとめ

  • テクニカル分析では過去の株価のトレンド・パターンから将来の株価の動きを推測する
  • テクニカル分析には多くの前提条件が存在し、懐疑派も少なくない
  • テクニカル分析の限界を理解し、他の手法と組み合わせることで株価予測の精度が高まる

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