【バード・イン・ハンド】手の中の一羽は草むらの二羽に相当?

2020年8月5日

定義

Bird in Hand(バードインハンド)とは和訳すると“手の中の鳥”ですが、元の言葉は以下の通りです。

A bird in the hand is worth two in the bush.(手中の一羽は藪の中の二羽に値する)

日本の諺では「明日の百より今日の五十」に相当します。

金融においてバードインハンドは株主株価の上昇によるキャピタルゲインより、配当による収益を好むことを差します。

ではその理由を順を追って説明していきましょう。

キャピタルゲイン – Two in the bush

キャピタルゲインとは投資家が株式を購入した時の価格より、株価が高くなることで得る利益(ゲイン)を指します。

5ドルで買った株が8ドルで売れればキャピタルゲインは3ドルです(実際は取引手数料等費用が掛かります)。

企業の株価は多くの内的要因(売上の増減、経営陣の交替、スキャンダル、人的災害等)や外的要因(金融政策、景気変動、為替変動、地価変動、自然災害等)によって日々変化します。

昨日まで業界のトップを走っていた企業の株価が、スキャンダルの一方で一日で暴落するのも珍しくありません。

株価は投資家(株主)のコントロールできない要因によって増減してしまうため、株式は投資家にとっては利益が予測しづらく、損を被るリスクもあります。

またリスクの分、相応のリターンがあるのも確かで、あるリサーチではダウやS&P 500 に上場してる企業の株を購入した場合の長期的なキャピタルゲインの平均は10%と言われています。

配当 – A bird in the hand

投資家は株式を購入することで配当を受ける権利を享受します。

企業が配当を行う頻度や度合い(配当性向)は株式を購入する前に、過去の配当記録や公表されている配当に関するポリシーを参照することである程度は掴めます。

一般的にベンチャー企業のような成長過程にある企業は、利益を成長のための投資に当てるため、しばらくは配当を行わない傾向にあります。

一方で成熟して経営が安定している企業は継続して一定の配当を行うのが通例です。

当然企業の業績が振るわない時期には配当が減ったり、0になる時もありますが、より多くの不確定要素を抱える株価の上昇によるキャピタルゲインよりは、配当による収入は比較的投資家にとって期待しやすいものです。

一方で配当が高いことで知られるユーティリティ業界や通信業界でも、配当によるリターンはおよそ5%程度と言われ、株価上昇によるキャピタルゲインの長期的リターンの平均10%の半分程度に過ぎません。

しかし繰り返しになりますが、配当はキャピタルゲインよりもより不確実性の低いものです。

よって短期的に利益を上げたい投資家からすれば、10年や20年掛かって実現する(かも知れない)キャピタルゲインによる10%のリターンよりも、毎年比較的安定したリターンを上げる(であろう)配当を今後5年間期待する方が良いと考えます。

つまり捕まえられるか分からない藪の中の2羽より、手の中にいる一羽の方が堅実だという考え方です。

メリット

配当を基に利益を上げようと試みる投資家は、配当利回り(一株当たり配当金÷株価)の高い株式や配当性向の高い企業の株式を購入します。

こうした株のメリットとしては、収益基盤が構築されていて、配当によって株主に利益を還元する姿勢が高いため、安定した経営が期待できる点です。

よって金融恐慌や不景気時でも比較的影響を受けにくく、投資家はこうした株をすぐに売ることはありません。

そのためより株価や経営は安定する特徴があります。

配当を50年以上に渡って継続している有名な企業にはCoca-Colaが挙げられます。

デメリット

一方で配当による利益を中心とした投資は、やはりリターンが低いという欠点があります。

いくら配当によるリターンの確実性が比較的高いとはいえ、長期的に見た場合キャピタルゲインによるリターンには到底及びません。

配当によるリターンが、インフラの加速によって実質0になることもあります。

また利益を積極的に配当に回す企業は、成長のための投資に使う金額が減るため、爆発的な成長・株価の上昇は期待できないデメリットもあります。

まとめ

  • バードインハンドは株主がキャピタルゲインよりも、配当による収益を好むことを示す
  • 株主にとって配当はキャピタルゲインよりも短期的に予測しやすいリターン
  • 長期的な視点では配当の期待リターンはキャピタルゲインによる期待リターンには及ばない

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