【レバレッジ・バイアウト】小さな魚がクジラを飲み込む

2020年8月5日

定義

Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)とは多額の社債発行や借入れによって資金を調達し、買収を行う手法を意味します。

社債を発行したり、借り入れを行ったりすることで、買い手は大規模の買収が可能となります。

一般的な社外資金(借り入れや社債)と自己資金の割合は9対1です。

買い手企業のレバレッジが高くなることから、社債の信用度は低くなり投資不適格債となることが一般的です。

こうした投資不適格債はJunk Bond(ジャンクボンド)と呼ばれます。

買い手は借入れを行う際に、自社のジャンクボンドや対象企業の資産・キャッシュフローを担保にします。

買い手は買収後に対象企業の経営を改善させ、増加した借入れの返済を行っていきます。

LBOの活用

買い手がLBOを行う動機は主に3つあります。

  1. 上場企業を非上場させるため
  2. 既存のビジネスの一部をスピンオフするため
  3. 個人事業の支配権を変更するため

LBOは1980年代に米国を中心に活発でしたが、当時の社外資本と自己資本の割合はほぼ100%に近かったため、買収後に元金や利息を返済できずに倒産する買い手が相次ぎました。

こうした歴史からLBOは悪名高い買収手法として捉えられてきました。

しかし2009年のリーマンショック以降、借り入れや信用リスクに関する規制が世界的に厳しくなりました。

米国では大手投資銀行に対して社内リスク管理システムの強化を促しました。

その結果各投資銀行は各種リスク(信用・市場・流動性等)に特化した部署を新たに設けるなど対策を講じました。

また金融当局の監視も厳しくなり、あまりにも無謀なLBOには当局から指導が入るケースが増えました。

こうして金融業界が恐慌を経験したことで、各方面でリスク管理やCorporate Financeに対する認識が強くなり、LBOの質も向上していきました。

近年では多くのPrivate Equity Fund(PE Fund)がLBOを活用しています。

LBOの計画

LBOを使用した投資ストラクチャー(例:買い手による借入先との交渉、社債の発行、対象企業との交渉等)は複雑なことが多く、交渉や手続きに数か月かかることも珍しくありません。

買い手はLBOの準備段階で、買収成功後にどのようにして、いつまでに負債を返済するかのスケジュールを立てる必要があります。

LBOが成立した後に増加した負債で破産してしまうケースは以前より減りましたが、近年の政治経済・金融市場の目まぐるしい変動によって予期せぬ倒産を招くケースも依然として存在します。

買収後の周到な返済計画に基づき実行されれば、LBOは買い手にとって非常に有効な手法と言えます。

LBOの皮肉な一面としては、対象企業が不本意な買収にあった際に、対象企業の価値が高ければ高いほど担保としての価値が高まり、買い手がより高額な借り入れが可能となる点です。

また企業の経営層が自社株をすべて買収する、Management Buyout(MBO)という手法もあります。

まとめ

  • LBOは多額の債券や借入れ(買収資金の9割方)によって行われる企業(または一事業)買収を指す
  • 借入れの担保には買い手企業の社債(ジャンクボンド)や対象企業のキャッシュフローや資産が使用される
  • LBO後に増加した負債の返済を行う周到な計画が必要とされる

ポチっとお願いします