【ゴールデンパラシュート】CEOが笑顔で席を譲って飛び立つ魔法の落下傘

2020年8月5日

定義

Golden Parachute(ゴールデンパラシュート又は金色の落下傘)は対象企業が買収される際に退職する役員が高額のベネフィットを受け取る制度です。

ゴールデンパラシュートは通常は役員の就任時に契約条項に盛り込まれます。

ベネフィットとは具体的に以下のものを含みます。

  • 現金ボーナス
  • 買収された企業のストックオプション
  • 退職後も企業年金への継続的な加入
  • 定年退職金など任期満了時に受領予定だった全てのパッケージに受領
  • 健康保険など福利厚生に関わるパッケージへの継続した加入

さてなぜゴールデンパラシュートが存在するのでしょうか?

仕組み

そもそもゴールデンパラシュートは企業を買収から守るための防御策の一つとして誕生しました。

買い手企業からすれば、買収に成功し対象企業の経営層を一掃する際に、ゴールデンパラシュートに基づいて、退職する経営層に対して高額の資金(又は前述のベネフィット)を払わなくてはいけません。

対象企業の事業規模が大きければ大きいほど、役員報酬は高額となるため、ゴールデンパラシュートの費用は膨らみます。

このようにゴールデンパラシュートは買い手に追加のコストが発生させることで、買収を踏みとどまらせる防衛策としての機能を持ちます。

またゴールデンパラシュートを契約内容に含めることで、経営陣を雇用(慰留)する際に良い人材が集まり(引き留め)やすいというメリットもあります。

反対派

ただしゴールデンパラシュートの適用には反対の意見も多くあります。

反対派の意見としては、そもそも役員クラスは平時から高額のベネフィットを受け取っているため、有事の際に平社員を差し置いて一部のトップ層だけ安全なパラシュートを受け取るのは不公平だという視点です。

またそもそも役員層は、買収の話が持ち上がった際には、株主やすべての社員のため最良の判断をする義務があるため、わざわざ個人的な利益を与える必要はないという意見もあります。

また一部の反対派の意見では、ゴールデンパラシュートによって買い手が支払わなくてはいけないコストは、全体の買収に関わる金額からすると微々たるもので、買い手が買収を取りやめるほどの障壁には成り得ないという見解もあります。

Golden Handshake

ゴールデンパラシュートに似た制度で、Golden Handshake(ゴールデンハンドシェイク)というものもあります。

ゴールデンハンドシェイクはゴールデンパラシュートよりもっと長期的に、退職した役員を定年までサポートするパッケージです。

パラシュートは地面に着地(経営から辞任)するまで、ハンドシェイクは地上に降りてから(離職後)するものであるため、よく言い得た表現ですね。

Silver/Tin Parachute

Silver Parachute(シルバーパラシュート又は銀色の落下傘)という制度もあります。

名前の通り、Goldほどは魅力的なパッケージでは無いものの、より多くの社員に対してパラシュートを与える仕組みです。

更に下位に位置するのがTin Parachute(ブリキの落下傘)です。

ブリキの落下傘は、買収により解雇された被雇用者が、解雇日から一定期間、元の給料の〇か月分を元の雇用主から受け取ることが出来る制度です。

給料の何か月分かは企業によって異なります。

まとめ

  • ゴールデンパラシュートは買い手企業が対象企業の役員の退職時に支払われるパッケージ
  • パッケージの内容は現金やストックオプション、企業年金・保険への加入など多岐に渡る
  • ゴールデンパラシュートはそのコストによって買い手に買収を断念させる買収防衛策として機能する

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