【太った猫】金融用語で太った猫が指すものとは。。。?
定義
Fat Catは直訳すると“太った猫“という意味ですが、金融業界では何を指すでしょうか?
答えをすぐに言ってしまうのは簡単で味気ないので、三択形式の問題にします。
- 売り上げは低下中だが在庫は増加し続けている経営状況を意味する
- 社員や株主が想像するより高額の給料や賞与を受け取っているエクゼクティブを指す
- 不良債権が資産価値以上に膨らみ買収の対象にはならない企業を指す
答えは決まりましたか?
正解はBです。(ドラッグして確認ください)
その理由を順を追って説明していきましょう。
まずほとんどの国では上場企業はトップ層が受け取る給与を開示する必要があります。
例えば米国では企業内の給与トップ5までの開示が求められます。
これにより企業は市場の投資家・規制当局の監視にさらされ、事業規模や業績に見当たった妥当なCompensation(給料・賞与・福利厚生など含めた対価)を設定するプレッシャーを受けます。
しかしそれでもなお、一部の役員クラスがその範囲を超えたCompensationを貰うのはなぜでしょうか?
Fat Catが生まれる背景
そもそも米国の金融業界では給料や賞与は個人や会社のパフォーマンスによって決まります。
日本のいくつかの企業のように、人事が年功序列で一概に決めてしまうことはありません。
私が勤務していた米国の投資銀行では、毎年個々人が同僚を数名自分でリストアップして評価してもらうAnnual Reviewが行われていました。
前年の個人の業績と同僚からの評価結果に基づき本年の賞与、翌年の基本給、昇進の有無が決定されます。
これはトップ層でも同じで、当然会社を背負って立つトップ層には更に厳しい評価が行われ、そのうえでCompensationが設定されています。
そのため単に人事との個人的なつながりで給料や賞与が増えることは皆無です。
そんなことをすれば社内から非難が巻き起こり、株主からは提訴されることでしょう。
つまりこうした公正な評価制度がある中でもFat Catが常識を超えた給料を受け取るのには、それなりの理由があります。
Fat Catはただ常識範囲外の給料を受け取るだけでなく、会社や社外、果ては政界にまで強い影響力を持っているからです。
Fat Catの例
例えばある企業のCEOはこれまで創業から会社の成長に多大な貢献をしてきただけでなく、社外でもその名を知られ、CEOの一声で多くの投資家が集まる力をもっているとします。
この場合、企業としては会社の規模や業績以上に会社に価値をもたらすCEOに高額の給料を払う動機があります。
またFat Catは個人の資産が多大で、ポケットマネーで大きな事業を動かすことが出来る力を持っているケースが多いのも特徴です。
米国の投資銀行から政治家に転身する人材も多く、政界と強い結びつきを持つFat Catは企業からも重宝されます。
Fat Catの語源は、餌を必要以上に食べて肥えた猫を指しますが、その怠惰なイメージとは裏腹に、Fat Cat達は企業にとって多大な価値を提供している貴重な存在です。
Fat Catの一例として、Disneyの元CEOのMichael Eisnerが挙げられます。
彼は5年間の任期の中で、会社の収入が毎年悪化していたのにも関わらず、総額約737mm米ドル(2020年4月のレートで日本790億円)もの給料を受け取りました。
会社にとってそれだけの価値があり、強力なリーダーシップを持つCEOと株主から信頼されたためです。
Fat Catは単にネガティブな意味に取られる事もありますが、実際は上記の様に会社の目に見える業績以上の影響力や価値を持っていることがほとんどです。
いくら猫好きと言えども、Fat Catと呼ばれる本人達からすればどこか不本意な名前でしょうか?
まとめ
- Fat Catは社員や株主が想像するより高額な給料・賞与を受け取っている役員クラスを指す
- Fat Catは優れた功績・名声・人脈・自己資金などで社内外に大きな影響力を持つ
- Fat Catは会社に対して数字には表れづらい面で多大な貢献をしている
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